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  ▼ 記者の視点
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効果的な糖尿病治療の提供を
やる気引き出す診療が開業医にも必要
2009.6.26

 先月の日本糖尿病学会年次学術集会で、耐糖能異常(IGT)の日本人にα−グルコシダーゼ阻害薬ボグリボースによる介入を行った「Victory」試験の発表があった。試験結果を聞きながら、糖尿病に携わる医師の治療への考え方や具体的取り組みが、ますます重要になってくるとあらためて感じた。

●2型糖尿病への進展抑制効果を確認

 Victoryは、ボグリボースの投与でIGTから2型糖尿病への進展を抑制できるかを見た大規模臨床試験。高血圧症、脂質異常症、BMI25以上、2型糖尿病の家族歴−のいずれかを有するハイリスクIGTを、ボグリボース投与群768例とプラセボ投与群737例に無作為に割り付け、両群を比較した。両群とも食事療法と運動療法を強化し、生活習慣の改善を行いながら投与した。

 主要評価項目である2型糖尿病への進展を見たところ、ボグリボース群はプラセボ群に比べて2型糖尿病発症を有意に抑制。抑制率は40.5%に達した。ボグリボース群の正常血糖応答への回復率は、プラセボ群の1.5倍となった。

 学術集会で結果を報告した順天堂大大学院内科学の河盛隆造氏は、「リスク因子数が多いほど、ボグリボース投与により発症を強く有意に抑えることができた」と説明。また、糖尿病の家族歴がある人はインスリン分泌能が低く、家族歴があるとボグリボースの糖尿病進展抑制効果がより強くなることを明らかにした。

 食生活の欧米化や運動不足によって糖尿病患者の増加が今後も見込まれるだけに、発症抑制の効果が示されたボグリボースにかかる期待は大きいとみられる。ただ忘れてならないのは、効果のベースに患者の生活習慣改善があるということだ。

●治療の基本は食事と運動

 中国地方のある地方都市の中核病院では、地域完結型の糖尿病治療を目指し、病院で抱えていた患者を開業医などへ逆紹介してきた。HbA1c6.5%未満の血糖コントロール良好な患者を対象としたところ、糖尿病・内分泌内科の2007年の逆紹介率はおよそ90%を記録。約1000人の患者を地域医療機関につないだ。

 しかし、逆紹介から6カ月後に患者の血糖コントロールを確認した分析では、HbA1cが平均で0.2ポイント上昇していることが判明。同科の部長はその要因の1つとして、患者の希望に沿って開業医に逆紹介した取り組みを挙げる。つまり、患者はかかりつけ医や自宅近くの開業医を選ぶため、必ずしも糖尿病治療に力を入れている開業医が継続して診療にあたった訳ではないという。

 気になるのは、「薬だけ出してほとんど患者を診ない開業医もいる」と部長が頭を抱えていたことだ。HbA1cや体重など基本データが記録されていないケースもあるといい、このような患者が血糖コントロール不良になっても、原因の把握は難しいと指摘する。

 この部長は、糖尿病は「教育の病気」であるため、患者自身が知識を身につけて前向きにならなければ、有効な治療はできないとの考えを提示。治療の基本は食事療法と運動療法であるとし、地域医療機関にも患者のやる気を引き出すようなケアを求める。

 不適切な診療を行う開業医が実在するのかは定かではない。ただこのような話を耳にすると、いくら新しい枠組みの薬が出てきても、糖尿病治療の基本が忘れ去られていれば意味がないと考えてしまう。今さら言うのもはばかれるが、糖尿病治療に携わる医師には、生活習慣の改善と薬を組み合わせた、最も効果的な治療提供を求めたい。(久谷 靖哉)

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