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  ▼ 記者の視点
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チーム医療の活性化は“財産”の有効活用
コメディカルからの視点で考えてみる
2008.7.18

 臨床検査関係の学会を取材していると、「医師との情報共有」「臨床へのフィードバック」といったテーマのパネルディスカッションを頻繁に目にする。毎年、多くの学会が繰り返し演題として取り上げるのを抄録上で見るたびに、コメディカルからの臨床へのアプローチは「永遠のテーマ」と感じる。

 それらのパネルディスカッションで発表する施設の多くは、院内での連携に積極的な検査室が自施設での取り組みを紹介する。だが、最後まで話を聞いていると、そうした検査室でさえ検査側の一方通行な取り組みに終始しているケースが少なくない。さまざまなアイデアを出し、院内でのシステム化にこぎ着けたものの、実際のところ「一部の医師にしか浸透していない」というさびしい本音も聞こえてくる。

 「チーム医療」という言葉が国内で使われ始めて久しいが、認識が浸透しつつあってもそれが職場環境として醸成しているとは、いまだ言い難い。これまで、取材側としても「正しい医療の在り方」として決まり文句のように、重要だの必要だのと伝えてきた感も否めないのが正直なところだ。

 しかし、臨床検査領域の取材を通して検査技師の仕事に触れるようになった最近、筆者自身、チーム医療のとらえ方が大きく変化してきた。もはや重要性、必要性という認識ではなく、チーム医療が機能していない病院は「損」とさえ感じるようになった。

◎ コメディカルのアプローチに目を向けて

 たとえば輸血検査。認定輸血検査技師という制度があるように、検査技師の職能による業務だ。彼らの業務は一言でいえば安全な血液を臨床へ供給することだが、その背景では輸血事故の防止策や迅速な血液供給体制の構築のために、さまざまな工夫を凝らしている。

 ある検査室の取り組みで、検査で不規則抗体と亜型を検出した場合、それらの情報を記載した「不規則抗体・亜型カード」という診察券サイズのカードを作成し、担当医を通じて患者に手渡しているという病院を取材したことがある。

 同検査室の検査技師は「患者がカードを所持することで医療機関同士の情報共有につながり、輸血が安全でスムーズに行われるという患者のメリットにつながる」と話していた。

 ほかには輸血部における緊急輸血・大量輸血時の対応として、救急部と連携し、「緊急輸血支援体制」を構築している病院もあった。輸血開始までの緊急度を3段階に分け、最も緊急を要する連絡を受けた場合には、輸血部の技師が「救急部派遣検査技師」として未交差O型Rh(+)RCCの10単位をもって救急部に駆けつけるという取り組みを、院内でガイドライン化していた。

 術中の偶発症例の死因の半数を占める出血性ショックの背景には、手術室搬入の遅れや血液供給の遅れがあるといわれるが、こうした連携体制の構築により、救急部への血液搬送時間が短縮。技師が現場に急行することでO型血や未交差同型血の使用が可能になり、医師や看護師の業務負担の軽減、多忙時に発生しやすい輸血事故の防止につながったという医師の声もあった。

 ほかにも輸血副作用のリスクを電子カルテから拾い上げ、その情報を医師に伝えることで発生を未然に防いだりと、その活躍は輸血関連業務だけでも挙げればきりがない。院内感染対策においても、検査室が院内の菌の分離状況と耐性を調査し、抗菌薬の効き具合を一覧表として臨床医に情報提供するといった検査室の取り組みもよく耳にする。

◎ 臨床側の受け止め方の問題

 しかし、関係者が一様に口にするのは情報提供に対する臨床側の受け止め方の問題だ。これだけ検査側からアプローチしても不規則抗体が何なのかすら理解していない医師がいたり、依然として医師とコメディカルの業務分断の根深さはぬぐえないようだ。

 先のパネルディスカッションに同席していた医師が「有用な検査情報は病院の財産」と話していたが、まさにチーム医療の活性化はもてる財産の有効活用だ。視点を変え、病院の方針としてコメディカルからのアプローチに目を向ければ、新たな病院経営の可能性が見えてくるのではないだろうか。(後藤 恭子)



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