▼
トップニュース
【
2008.7.23号を読む
】
【
2008.7.18号を読む
】
「医の倫理委員会」普及への取り組み
野村病院(東京都三鷹市) 自院のHECに院外からも参加者受け入れ
2008.7.18
終末期患者への病名・余命告知や延命治療の適応・中止など、医療倫理が問われる場面が増加してきている。そのため、病院内に臨床現場の倫理的な問題を検討する「医の倫理委員会(Hospital Ethics Committee;HEC)」を設置することも必要視されている。一方で、依然としてHECを持つ病院は数少ないのが現状だ。このような中、すでにHECを立ち上げている野村病院(東京都三鷹市)では、自院のHECに院外からの参加者を受け入れるほか、来春にも東京都内で生命倫理の講演会を開催するなど、一般病院までHECを広く普及させることを目指した取り組みをスタートさせている。
倫理を問う場として、多くの病院に設置されているのがIRBだ。しかし、同院の副院長である三浦靖彦氏は「IRBは治験などの審査が中心で、臨床的な問題まで検討しているIRBはほとんどないのではないか」と話す。HECの機能がある病院としては、北里研究所病院や京都大病院などがあるものの、「HECがある一般病院はほとんどないのが現状」という。
また、IRBは1〜3カ月に1度開催されるケースが多く、「タイムリーな判断を下すのが難しい」と指摘。呼吸器の取り外しなど延命治療にかかわるものでは、早期に対応が求められる事項についての対応は難しいとし、HECを立ち上げることの重要性を強調する。
野村病院でHECを立ち上げたのは2006年10月。すでに、23例の倫理コンサルテーションを行っている。同院のHECは「症例があったら、可及的速やかにカンファレンスを開催している」という。
コンサルテーションの依頼は、医師15件に加え、病棟看護師3件、訪問看護師5件からあった。
内容は、「がん患者の緩和医療における治療方針(10件)」「がん以外の重症疾患末期のケアについて(7件)」「家族間の意見調整について(6件)」、「心肺停止時に心肺蘇生術を行わないこと(DNR)やリビング・ウィルの申し出について(3件)」「病名・余命の告知について(3件)」と多岐にわたる。
カンファレンスは、医師・看護師だけでなく、訪問看護師・薬剤師・臨床検査技師・医事課や経営企画部の担当者など、幅広い職種が参加しているのが特徴だ。
三浦氏は、医療従事者以外の職種も加わることで、「患者家族としての視点を取り入れることができる」と話す。実際、医師や看護師は、患者家族の負担を重要視するが、「患者家族が負担を負うのは当然。医療資源を使ってまで延命治療を行うべきか」など、医療従事者からは出づらい意見も出たという。
このように、医師以外の職種の意見を率直に聞ける場を設けることで、医師の独断専行がなくなり、「類似症例にはどうしたら良いかスタンダードな方法が確立する」と三浦氏は話す。また、医療スタッフのモチベーション向上などにもつながることから、「病院全体の医療のレベルアップにつながる」との考えも示し、HECのメリットを強調する。
● 医療倫理を担う人材育成も
医療倫理を担う人材の育成も、医療倫理を広める上では重要なカギとなる。現在、臨床倫理を基礎から実践まで学べるのは、東京大の生命・医療倫理教育研究センター(CBEL)と九州地方を中心に開催される「臨床倫理AtoZ」にとどまっている。三浦氏は、来春までには医療倫理の公開講座を開催するほか、「AtoZの東京版を開きたい」と意気込みをみせた。
(写真=野村病院)
All documents,images nd photographs contained in this site belong to Jiho,inc.
Using these documents, images and photographs are strictly banned for any purposes.
Copyright (C) 2008 Jiho,inc.